
Amoeba Music
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場所: カリフォルニア州バークリー(Berkeley, CA)
概要:カリフォルニア・バークレーにて1990年に創業した Amoeba Music(アメーバミュージック) は、レコード愛好家やアーティストたちの心をつかんで離さない、アメリカ最大級のインディペンデント・レコードストアです。CD、レコード、カセット、ビデオ、ポスター……あらゆるフィジカル・カルチャーが並ぶその空間は、ただの“店”ではなく、音楽文化が生きる場所。とりわけ90年代から2000年代初頭にかけてのアナログ回帰のムーブメントや、インディーズシーンの盛り上がりと共に、Amoebaは「アナログの価値」を再定義した存在として注目を集めてきました。カウンターカルチャーの本場バークリーに根ざしながら、ロサンゼルスやサンフランシスコへと展開。店内には名もなきDJから世界的アーティストまでが足を運び、ディグ(dig=レコードを掘る)に没頭。ロゴTシャツは、そんな“音を愛する者たち”のユニフォームとして親しまれてきました。
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UC Berkeleyの学生が行き交うストリートで、ひときわ目を引くサイケデリックな外観があった。
私たちはその外観に吸い寄せられるように、Amoeba Musicの店内へと足を踏み入れた。
目の前に一気に飛び込んできたのは、おびただしい数のレコードたち。
店内の壁という壁は、すべて名盤で埋め尽くされていた。
実はこの頃、”割れ物・壊れ物の類は買い物禁止”が暗黙のルールになっていた。
なぜなら、私たちのスーツケースには、もはや一片の余白も残されていない。
それでも、つい顔をほころばせながらパタパタとレコードをディグってみたくなるのは、この空間が放つ空気のせいなのだろう。
レコードの代わりに、思う存分Tシャツとトートバッグを“ディグ”していたとき、
ふとレジカウンターの裏に、ひっそりとぶら下がっているバッグが目に留まった。
グリーンの持ち手に、グリーン・デイのロゴ。
「やっぱり、ここはグリーンデイのホームタウンだな。」
そう思いながら、私たちは顔を見合わせ、
ニンマリと笑い合い、
無言のアイコンタクトを交わした。
そして、会計中の陽気なお兄さんにこう声をかけた。
「そのグリーン・デイのバッグも、ふたつ、ちょうだい。」