
アメリカ食料品店探訪
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Trader Joe's
場所: カリフォルニア州 パサディナ(Pasadena, CA)
概要:Trader Joe's(トレーダー・ジョーズ)は、アメリカ全土に店舗を展開する人気のグローサリーストア(食料品店)で、ユニークな商品セレクションと手頃な価格、そして温かみのある店舗デザインで知られています。1967年にカリフォルニア州パサデナで創業され、以降「冒険心のある食の探検家」をターゲットに、世界各国から厳選した食品や、プライベートブランド(自社ブランド)商品を中心に取り扱っています。特に冷凍食品、スナック、オーガニックやビーガン対応の商品が豊富で、パッケージデザインも個性的。スタッフはアロハシャツを着ており、フレンドリーな接客スタイルも魅力のひとつです。大型チェーン店とは異なる、ローカル感と発見の楽しさに満ちた店づくりが、幅広い世代のアメリカ人から長く愛されています。
Whole Foods
場所: テキサス州 オースティン(Austin, TX)
概要:Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)は、アメリカ発の高品質なオーガニック食品とナチュラル製品を専門に扱うスーパーマーケットチェーンです。1980年にテキサス州オースティンで創業され、「体に良いもの」「地球にやさしいもの」をコンセプトに、農薬や人工添加物を極力排除した商品ラインナップを提供してきました。店舗では、オーガニック野菜やグラスフェッドの肉、地元産の食品、サステナブルなシーフード、ビーガン対応商品、サプリメントやナチュラルコスメまで幅広く取り揃えており、健康志向の消費者に支持されています。
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私たちがアメリカで料理をする時は、たいてい「トレジョ」か「ホールフーズ」で買い物をする。
「トレジョ(Trader Joe's)」では、じゃがいも、トマト、アボカド、バナナ、オレンジなどの基本的な野菜や果物がとにかく安く手に入る。しかも、基本的にはどれもオーガニックだ。
一方、「ホールフーズ(Whole Foods)」は、高級グロッサリー(grocery)と呼ばれるだけあって、魚介類や肉類の品揃えが豊富だ。たとえばエビ一つとっても、種類が7種類以上もあるので、選ぶだけでもひと苦労。卵コーナーも圧巻で、日本の乳製品売り場の棚すべてが卵で埋まっているようなイメージだ。とにかく、ホールフーズでは「何かひとつを選ぶ」という行為だけでかなり時間がかかる。また、調理済みのデリやスープ、そしてローカルで丁寧に作られた“安くはないけれど良いもの”も豊富にそろっている。
基本的に、これらのお店はどちらも治安の良いエリアにあるため、見知らぬ街での“治安の指標”としても、私たちはこの2店をよく参考にしている。さて、この2店に限らず、アメリカのグロッサリーはとにかくエコバッグのデザインがかわいくて、いつも目移りしてしまう。
けれど、どうしても不思議なのは、現地の人たちがほとんどエコバッグを使っていないこと。会計時、レジで「バッグいる?」と聞かれ、「イエス」と答えると、紙袋を2重にして丁寧に袋詰めしてくれる。もちろんこの紙袋は有料だし、帰宅したらすぐに捨てるような袋なので、エコバッグを使った方が文字通り“エコ”なはず。でも、多くの人がそうしない。
少し話は逸れるけれど、アメリカ人は本当に日常で紙を大量に使う。キッチンを拭くのにもペーパータオル、口元を拭くのにもペーパーナプキン、手洗いの後もペーパータオル。しかも、その使用量が桁違い。キッチンくらいタオルで拭けばいいと思って、紙の代わりに布のキッチンタオルを使ったら怒られたことがある。そのくせ、資料を紙でプリントするのは嫌がるから面白い。エコ意識が高いのか、そうでもないのか。よくわからない、そんなところも含めて、私はアメリカ人が大好きだ。
話を戻すと——それでは一体、このかわいいエコバッグは誰のためにあるのか?
それはつまり、「アメリカのオーガニックなグロッサリーでちゃんと買い物をして、料理をして、生活リズムの整った旅をしてきたんです、私」と、言葉にしなくても周囲に伝えたい、私のために存在しているのです。
アメリカのオーガニックなグロッサリーでちゃんと買い物をして、料理をして、生活リズムの整った旅をしてきたんです、私。よろしければ、エコバッグ、おひとついかがですか?
後日談——
帰国後、ニュースで「トレジョのミニTOTE BAG争奪戦で現地が大騒ぎになっている」という話題を目にした。
まさに、あのバッグはステータスシンボル化しているのである。